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2012年12月 7日 (金)

スラバヤ=バンドゥン「Argo Wilis」号乗車記。

今日は有給を頂いてバンドゥンに行くことにした。明日現地で用事ができたんだけれど、日曜の午後にはどうしてもスラバヤにいなければならなくなったため。であれば明日朝一の飛行機で行ってもまあ間に合うのだけれど、折角なので、スラバヤ=バンドゥン間699kmを12時間以上かけて走破するジャワ島を東西に走破する長距離特急「Argo Wilis」に乗りとおしてみることにしたのでした。
昼間の最長距離特急…という意味では、ジャカルタ・ガンビル=スラバヤ・パサールトゥリ間725kmを走るインドネシア鉄道の看板列車、アルゴ・ブロモ・アングレック号の方が長いのだけれど、こちらは線形が良いため9時間半ほどで走り切ってしまうのに対し、バンドゥン側に山岳地帯越え区間を抱えるアルゴ・ウィリスの方が所要時間は遥かに長い。(因みに夜行列車も含めれば、ジャカルタ=マラン間のガジャヤナ号が最長距離特急となります。)
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スラバヤ・グブン駅で出発を待つ「アルゴ・ウィリス」号バンドゥン行き。

というわけで、折角なのでいつものグブン駅ではなく、朝7時、始発のスラバヤ・コタ駅から5列車「Argo Wilis」号バンドゥン行きにちゃんと乗ってみた。といっても、やはりこの最初の1駅間は回送同様の状況。全車未更新の大窓アルゴ客車を連ねた5両のEksektif車の乗客は僅か2人のみ。15分ほど停車したスラバヤ・グブン駅でようやく3割越え位か、まともな乗車率になって来た。やっぱりこっちが実質的な始発駅だね。発車すると、運転士、助士に始まり乗員名を紹介する念入りな放送があった。

間もなく車内販売や貸し毛布の案内が始まるが、併せて配られたチラシにはリフレクソロジーの案内が。食堂車の荷物室のような一室に安楽椅子をおいて、サービス要員まで乗車させているらしい。また、スーパーマーケットと掛けて「Spoormarket」と称するグッズ販売の冊子も配って歩く商売熱心。残念ながらあまり欲しいものはなく、唯一美味しそうだったクリームスープを買って朝御飯にする。
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立派な車内誌「Rel」もご用意。流石は看板列車は違う?

涼しげな朝もやの中を快走した列車は、ジョンバン(Jombang)で赤青の旧標準塗装の流線形機に引かれたエコノミ列車と交換。元々南スマトラのタンジュン・カラン区に所属していたのが、この秋にジャワ島からスマトラに送られた別の機関車と入れ替えの形でジャワ島にやって来た機関車だ。

9時45分マディウン(Madiun)着。CC20403 引く下りのスラバヤ行き急行サンチャカ(Sancaka)と交換。3両連結した2等車Bisnisはほぼ満席。2等車が減車されている列車が増えつつある中、この列車の2等車は暫くは安泰かな。と思ううちに、構内にソロの紅白レールバスを発見。ウォノギリ支線のスコハルジョから市内の併用軌道区間を経てジョグジャを結ぶコミューター列車に使われている筈だったが、故障運転休止か?心配になります。
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窓の下には電源プラグが設置されている。時代に合ったサービスを提供してるね。

右手に製糖工場の見えるグネン(Geneng)通過すると雨が降りだしてきた。スコールのような雨が上がってくると、車窓には青々とした田んぼが広がる。三期作の土地柄とはいえ、雨期の始まりの今はやはりこういう田植えの時期なのか。

10時59分、クミリ(Kemiri)という小駅で対向の3等エコノミの快速列車と交換。この駅に限らず当方特急は一線スルーで直進通過していく。北本線のような複線化は遅れているが、こちら南本線でも改良は少しずつ行われている模様だ。
11時4分、ブンガワン・ソロを渡り、ソロ市内へ。雨期のため茶色に濁り、水量も多い。

そして右手にスマラン方面に向かう大デルタ線を見ながらソロ・バラパン着。向かいのホームで発車待ちの紫の日本車輛製KRDはプランバナン・エクスプレス(Prameks)の由だ。先日の脱線事故で車両不足となっているが、列車自体に対する需要は高いため、代替車で運行している訳か。やっぱり普通そうだよなあ。当地では車輛の故障修理や検査期間中は運休している列車が多いが、そっちの方が間違ってると思う。

ソロ・バラパン11時16分発。僅か3分遅れ。立派。 
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脱線事故により車両不足になったPrameksは日本車輛製KRDで代替運転中。

ここからは円借款で複線化工事が完了している区間に入り、Madiun Jaya ACとすれ違い。
11時58分、ジョグジャ空港を左手に見つつ、マグウォ(Magwo)空港駅を通過。数百m先の右手には、鉄道文化財指定されているMagwo旧駅舎が見える。 
12時3分、 ショッピングセンターなど大きな建物が増えてきて、12時6分、ジョグジャカルタ着。駅舎北側の5番ホーム着。ここで更に乗り込み、7割程度の乗車率になった。

かつて80年代、鉄道作家の宮脇俊三氏は日食観測ツアーに参加してこのジョグジャカルタを訪問している。ソロ=ジョグジャ間のローカル列車に乗り、夜中にはジョグジャカルタ駅に入場券を買って入場し、当時はまだ寝台車を連結していた特急「ビマ」を眺めている。その際のエピソードは著書「椰子が笑う 汽車は行く」に書かれているが、こんな南国までわざわざ汽車なんぞに乗りに来ている自分たちを南国の椰子が眺めて笑っている、棒の先に「笑」という字を乗せると、椰子の木そっくりになる、と書かれていたのを思い出した。

12時10分ジョグジャカルタ発。遅れは僅か1分に短縮。立派立派。
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ゆったりとしたリクライニングシートが並ぶ車内。隣の車両はブラウン色調と各車色違いでした。

ちょっとした峠を越えて平野に下りて来たところがクトアルジョ。右手からは、レールこそ錆び付いてはいるものの、休止中とは思えない立派な保線状態のプルウォレジョ(Purworejo)支線が右から合流してくる。終点のプルウォレジョ駅は鉄道文化財保存対象としてリハビリされ、近い将来の観光列車の運転が計画されているそうだ。

クトアルジョを出て単線、未改良区間に入るとスピードがガクッと落ちた。円借款による改良複線化が決定している区間であり、早急な工事開始を期待。右手には「運輸省鉄道総局所有地」の立て看板があちこちに見られるところ、用地買収は進んでいるようだし。
13時18分、プレンブン(Prembun)駅に運転停車、下り側線に入った。暫くの後、上り線をスルーですれ違った特急は30分ほどの遅れで運転しているらしい、本来クトアルジョで交換する筈のこの列車のペア、下り6列車「アルゴ・ウィリス」号スラバヤ行き。それでも、片方の列車の遅れを受けて迅速に交換駅を変更し、それほど待つ間もなく交換できるのはなかなか優秀。
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単線区間で対向のスラバヤ行き特急アルゴ・ウィリス号と交換。

13時45分、暫くの信号停車の後、カランガンヤール(Karanganyar)で対向の3等エコノミ列車と交換。遅れのバンドゥン(ルンプヤンガン)=スラバヤ間快速122列車「パスンダン(Pasundan)」が待避線に入るのを待っていたのか。
13時56分、左右に列車を待たせてゴンバン(Gombong)通過。左手には3等Ekonomi列車、右手には2等Bisnis編成。

次のイジョ(Ijo)では、下りの特急を待たせて交換。ジャカルタ発ソロ行きの10列車「アルゴ・ドゥイパンガ(Argo Dwipangga)」だ。

更に続いて14時15分、クムラジェン(Kemrajen)ではEkonomi-AC編成のジョグジャ・ルンプヤンガン行き7016列車「ガジャウォン(Gajawong)」号と交換。このあたり、殆ど各駅で交換する列車密度。やはり複線化は必須で喫緊だ。

チレボン、ジャカルタ方面の本線を分けるクロヤ(Kroya)には交換待ち遅れの影響を引っ張り、14時24分、1番線に到着。直ちにこちらの到着を待ちわびたように隣の2番線から1、2等青胴車の下り急行が発車。バンドゥンからのソロ行き74列車「ロダヤ(Lodaya)」号。14時28分には続いて2番線にやはり青胴編成の下り1、2等急行104列車クトアルジョ行き「サウンガリー・ウタマ(Sawunggalih Utama)」が到着。この列車が31分に先発すると、今度は同時に3番線には下り貨物が到着。すごい綱渡り的な列車捌きだこれは。

国営石油会社プルタミナ(Pertamina)の基地が右手に見えるとマオス(Maos)通過。列車名にもなっている大河スラユ(Surayu)川を渡り次の信号場でチラチャップ(Cilacap)方面への支線を左手に分けると、ここから先は随分と久しぶりに乗車する区間だ。東ティモール在勤中の2003年以来か。 
両側に田んぼが広がり、遠くに山を望む穏やかな田園風景。菅笠をかぶった農夫と椰子の木、所々見かけるマスジッドが日本とは違った雰囲気を醸しだしているが、日本人的には凄く心洗われるというか、ゆったりとした農村風景を眺めながら列車は進んでいく。

左手から合流する筈のパガンダラン方面への廃線跡は確認できなかったが、こちらも古く文化財的価値のある駅舎を持つバンジャール着。デッキに出てみると、ホームでは地元の物売りが様々な食べ物や飲み物などを売る声を上げているのに捕まった。なんとなく小腹も空いて来ていたので、愛想のいいおばちゃん売り子から軽食を購入。ホームには下回りを打診して歩く職員が見え、運転中もこうやって安全点検をしているのを見るとなんとなく心強いね。16時3分バンジャール発、遅れは18分に短縮。

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きざみテンペと豆の和え物にアヤム・ゴレンをつけた定食?6,000ルピア。バンジャール駅で。

16時46分、転勤前にジャカルタから訪問したことのある、鉄道・自動車が上下2段になっているチラホン橋を通過。橋の袂では待ち構えて写真を撮る人有り。ちょっとした観光地になってるようだ。

 

さて、17時を回ればスラバヤからもうそろそろ10時間。なんだかんだ言いつつ若干疲れてきたかな。椰子が笑ってるといった宮脇さんの気持ちが解る。何せ今日の切符代は36万ルピア、明日の帰りのMerpati航空のチケットが297,000ルピアとこっちの方が安いのだから。

右手に長く連なる火山群を眺めながら、17時1分、タシクマラヤ(Tasikmalaya)着。スラバヤ・グブンから一緒だった目の前の家族連れも下車。赤ん坊連れで大荷物だが、ホームが低く下車に大苦労している。中国の車輛とは異なりここインドネシアの優等客車には車両側にステップはないためで、ホームのかさ上げをしていい時期かと思われる。
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昔ながらの趣ある主要駅の作りのタシクマラヤに到着。

左手に歴史上しばしば噴火して大きな被害を出して来たガルングン火山を見ながらチアウィ(Ciawi)を過ぎ、チラハユ(Cirahayu)そしてチペウンドゥイ(Cipeundeuy)へ、高原地帯の雄大な景色を右手に望みながら、夕暮れの山をゆっくりと登っていく。オランダ時代に開業した古い路線なのでトンネルもほとんどなく鉄橋も最小限で、線路は等高線に沿って走る印象を受ける。
それでも人工密集のジャワ島では、こんな山奥の猫の額のような土地にも田畑が設けられている。この辺に「Ci~」という地名が多いのは、スンダ語で「水」を示す意味だそう。太古の昔から、人間が生きていくには、耕作するには水が絶対必要だからね。
標高772m、17時16分着予定の山間の小集落、特急が停車するのが不思議なチペウンドゥイにはすっかり涼しくなってきた夕暮れの17時51分着。ここで下りのマラン行き90列車マラバール(Malabar) と交換。現在唯一1、2、3等全てを連結したこの列車、本日はEks2両、食堂電源車に続き、Bis2両、EKo2両、貨物2両でいずれも殆ど満席の高乗車率。向こうはバンドゥン始発出たばかりでそれほど遅れてないだろうに、随分待たせちゃったね。
この駅では、赤ん坊を抱いた母親が物乞い。子供達だけで手を出してくるグループも。本当に貧しい地域なのかもしれないけど、こんな習慣を身に付けさせちゃいけないと思う。
18時発。列車はサミットを越えて下り出したが、日もすっかり暮れ、もう車窓を眺めるのは難しくなったな。
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夕暮れの高原の小駅Cipeundeuyを発車。さあバンドゥン迄あと一息。

18時33分チバトゥ(Cibatu)に運転停車。下り2等急行114列車ムティアラ・スラタン(Mutiara Selatan)号スラバヤ行きとスムーズな交換。先方は格上の我が方を差し置き、通過していく。

標高848m、インドネシア最高所にあるネグレグ(Nagreg)駅を通過し坂を一気に駆け下り、チチャレンカ(Cicalengka) 通過。ここからバンドゥンの近郊区間に入る。

 

19時46分のバンドゥン・ドライポートと称する保税扱いもしているらしいコンテナヤード貨物駅のあるゲデバゲ(Gedebage)を通過すると、次第に「街の明かりがとても綺麗ね♪」、になって、19時59分ようやく終点バンドゥン着。列車が停まりきらないうちからポーターさん達が乗り込んで来て、慌ただしく下車。遅れも含めれば13時間、流石に長かったなぁ。
特に陽が暮れてからは退屈でした。インドネシア鉄道の中でも屈指の景色のよい区間をしっかりと眺められる、バンドゥン出発直後の朝のうちにこの景色のいい区間を通れる、逆ルートの方がよかったかもしれないな。

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