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2012年12月 8日 (土)

PT.KAI本社訪問@バンドゥン

バンドゥンにやって来たのは、今回ここに所在する国鉄PT.KAIの本社と関連施設訪問の許可が取れたため。
先ずは朝7時に鉄道史的建造物である、高い天井とステンドグラスのあしらわれた優雅なデザインのバンドゥン駅南口に集合、2台の車に分乗して市内のグラハ・パラヒャンガンに向かう。
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未だ現役の歴史的建造物、バンドゥン駅南口駅舎。最近ではコンビニも入りました。

この建物、元は1927年築、戦後は幹部宿舎として使われた後、国鉄職員の官舎となっていたのを、2009年頃から鉄道史的建造物としてリハビリを行い、現在では給水塔や駅に設置してあった鐘、その他切符の印刷機や日付印刷機などの備品や、古い駅舎の写真や絵などを展示しつつ、会議室施設として部外に貸し出したりしている。スマランのLawang Sewuと並ぶ、国鉄PT.KAIのHeritage Railway部門の大型歴史的建造物リハビリ活動の成果の一つだ。
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グラハ・パラヒャンガンの室内。綺麗に整備され、展示もセンスがいいですね。

こちらでPT.KAI側からのお土産として、Company Profile的な様々な資料に加え、大判の「ジャワ島の駅舎」写真集等、抱えきれないくらいのお土産を戴いてしまい、大感激。また、案内のPT.KAIの広報担当職員イスティアワン氏や、なぜか一緒についてきた地元の鉄道ファン等と意見交換というか、様々な従来からの疑問をぶつけてみる時間も。

次は市内東方にある、市内に2カ所あるうちの信号関係のPT.KAIの研修施設Balai Pelatihan Sinyal Telekomunikasi dan Listril に案内された。こちらは不勉強な分野で、日本語でもよくわからないものをインドネシア語で説明されてもさっぱりなのだけれど、初中上級あわせて毎年300人が3ヶ月程度の研修を受講しているというこの施設、ODAマークがつけられた機材も綺麗な状態で活用されており、なるほど、である。ちなみに、先般日本のJRからは消滅した腕木式信号機であるが、当地ではまだ全線の7割程度が腕木式とのこと。他方で、閉塞システムに関する実習用の機械も見せて貰ったけれど、タブレットについては(画像検索した)写真を見せても、そのようなものは以前から使われていないとのこと。そうなんだ。
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信号機やポイント、踏切など様々な施設が並ぶ、BP-STL研修施設の敷地内。

続いて、その東側に連なる旧貨物駅へ移動。こちらは広大な敷地に一部補修用機材が保管されている倉庫があるが、現在は線路も草に埋もれ車輌の出入りはない。草臥れた建物と草生した広大な土地が一種荒れ果てたなかなかの雰囲気を醸し出しており、「あぶない刑事(古っ!)」の横浜の煉瓦倉庫のように、時折映画撮影等に用いられたりしているんだとか。
ここでの収穫はその草生した敷地の奥の奥に見えました。草をかき分け、時折足下を線路や水たまりにすくわれたりしながら辿りついたそこには、3両の廃車体。
といってもうち2両は既に車体は朽ち落ち、台枠と台車しか残っていないが、残る1両は写真や古い映像でしかみたことはないけれど、素性はすぐ判った。これは1970年代に日本の援助で大量の抵抗制御式電車が導入され、近代化される前のジャカルタ首都圏の電鉄区間で使われていたオランダ製の古い電車の廃車体だ。元々の電化は1925年頃の筈だから、その頃に製造・輸入され、1970年代中盤まで使われた後、何らかの経緯でこの地に運ばれてきて、恐らくは電装解除されて倉庫代わりか何かに使われていたのだろう。そこから更に100mほど先の大きな木の下には、更にもう1両。こちらは合造車だったのか、窓配置が若干違う。
いずれに車輌も朽ち果てる寸前といった雰囲気だが、同行のイスティアワン氏によれば、直してカフェかなんかにするなんて話があるらしい。いやいや、これはジャカルタのマンガライのバライ・ヤサにある古い電気機関車、BonBonことWH202型機と同じくらい歴史的価値があるものだよ。取り敢えずちゃんとレストアしてみようよ・・・。
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オランダ時代からの古い電車の廃車体。これも貴重な鉄道文化財。是非レストアを。
こちらも。上の車両とは少しスタイルが違ってるね。
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当時走っていた電車。即ちこの廃車体の現役当時。
出典:
http://www.kaorinusantara.web.id/forum/showthread.php?t=4100

バンドン駅に戻って昼食の後、引き続いては、Ekonomi AC改造客車を連ねるPATAS(近郊快速列車)の脇を歩いて、駅の西側にある機関車・気動車のメンテナンス・デポを訪問。本当は客車のAC改造なんかもやってのける客車のデポの方も見てみたかったのだが、こちらは許可が下りなかった由。
とはいえ、このバンドゥンのディーゼル・デポ、これまで全国幾つかのデポをのぞかせて貰ったことがあるが、こちらは清潔というか、流石は本社とお膝元という感じで、極めて近代的に運営されている印象だった。
5線ほどの機修用の線路が敷かれた庫内の床はフィルムが貼られ、常に掃除夫がモップをかけて回っているおかげで油汚れ一つない。機関車が出入りする際にはキチンと安全確認の笛が鳴り響き、たまたま検収庫の拡張工事作業中の場所で土木作業をしているの人足は然るべき距離をとって待避させられており、インドネシア的な緩さがあまり感じられない。
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驚くほど綺麗なデポの庫内。沢山のDLやDCが整備の真っ最中。

庫内ではCC201、203、CC301といったおなじみのディーゼル機関車が日、月、3,6月といった定期点検を次々と受ける傍らでは、日本車輌製の気動車KD2・MCW302系列がお色直しの真っ最中。白地に青と赤のラインが入った新塗装に塗り替えられている一方、電車改造のKRDEが故障してマディウンのINKAに入院してたのがやっと帰ってきたとやらで、緑色の見慣れぬKRDEが営業再開に向けて動き出しつつあった。
このデポには他にも、巡察車「Rail One」や「Ukur(検測)車」や黄色の救援車など珍しい車輌も何両か。Rail Oneについては、KA Wisataを通じて依頼すればチャーター可能だよ、なんて言われたけれど、本当だろうか。ホントに可能なのならば、旅客営業のない貨物線でも走らせてみようか。
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こちらでは日本車輛製DCがお色直しの真っ最中。

その後はバンドゥン駅長との面会、そして最後はバンドゥン駅から少し東へ行ったところにあるPT.KAIの本社を訪問。週末ということで幹部の方々への面会は叶わなかったけれど、当方からの質問事項は追って本社内で決裁をとってメールで回答するといってくれたし、敷地内を一回りし、古い立派な造りの建物を見せて戴くことが出来ました。敷地内には国鉄関係の書物を集めた図書館もあり、平日であれば閲覧も可能とのこと。ほら、また一度見に来ないといかんじゃないか。

週末の訪問ということで結構割り増し手数料を払いましたが、十分それだけの価値はある大人の社会科見学的な一日でした。アレンジしてくれた、職場の後輩Y山くん、この場を借りてあらためて、ありがとう。
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古いSLが展示されたPT.KAI本社入口。何故本社がバンドゥンにあるかについては明確な回答が得られませんでした。。。

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コメント

おっとっと様、
(日本では)明けましておめでとうございます。インドネシアはあと1時間ほどで新年を迎えます。
また、コメントいただきありがとうございます。当方こそ、おっとっと様の、昔の「おまけ鉄ブログ」の時代から、ジャンルを問わず興味深い視点からの分析と軽妙なコメントを日々楽しみに拝見させて頂いております。

 バンドゥンの国鉄本社と関係施設の訪問は、本当に、有給とって出掛けた甲斐がありました。歴史的施設を歴史的史実として大切にする、欧州譲りの文化がきちんと根付き、辰野式の建築を絶対に認めず自国民が設計したと言い張るK国人に爪の垢を飲ませてやりたい気分です。
 当時の電車も、貴重な文化遺産ではありますが、車体の残る2両は明らかにまだレストアは可能な筈。Bonbonだって103系の部品を流用して自走可能とした訳ですから、この電車だって自走可能な状態にまで持って行ってくれる事を大いに期待したいと思いますね。
 こちらこそ、来年も宜しくお願いいたします。いつかお会いできることを楽しみにしております。

投稿: 落花生。 | 2013年1月 1日 (火) 00時47分

 こんばんは、先日は拙ブログにコメント頂きまして誠にありがとうございました m(_ _)m 師走の仕事やら忘年会やらが一段落しまして、初めてコメントさせて頂きます〜。
 毎回毎回、通りすがりの観光客ではなかなか窺い知れない歴史遺産や濃いぃスポットなどの訪問記を楽しみに拝見しておりますが、バンドゥンのKAI本社ご訪問レポートは、改めてインドネシアの鉄道事情の奥深さに触れて圧倒される思いです。
 とくに、歴史的な遺物を良好に保存している状況は、ジャカルタの他の施設でも眼にするところですが、清潔で気品ある雰囲気に仕上がっていることには本当に親しみを感じます。これがC国やK国ですとしばしばゴテゴテな雰囲気に変わるか、さもなくば日○残滓ということで呆気なく壊されてしまうだけですから……。
 それはさておき、70年代後半に日本製電車が入るまで活躍していたオランダ製電車、良いですね!!! これはもう本当に、草生した線路上といえども、オンレールな状態で現存していること自体が最高に貴重だと存じます……。自走不可能としてもBonBon同様に美しく復元することが出来れば、動く蘭印→インドネシア近代史の生き証人として世界に誇りうる鉄道遺産になりうるはずです。間違ってもオフレールのカフェになることのなきよう、当局へのプッシュを期待しております!
 整備工場の様子はたしかに秩序立った雰囲気が感じられ、これまたインドネシア……というかジャワ文明の隠された実力を見るような気がします。インドネシアもやれば出来る!という気概を大いに持って頂いたうえで、様々な面で日本との一層の関係強化を是非!と、紅白歌合戦を見ながら思う次第です。(いやそれ以上に、日本製DCの新塗装が気になるのですが ^^;)
 新年も充実のレポートを楽しみにしております。良い新年をお迎え下さい m(_ _)m
 

投稿: おっとっと | 2012年12月31日 (月) 21時21分

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