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2015年8月 8日 (土)

スラバヤ・コタ旧駅、レストア終了・・・か?

5日付の当地主要紙「Jawa Pos」はカラーでスラバヤ・コタの旧駅舎のレストアが終わった旨を伝えています。
1930年代の古い写真、2011年のレストア作業前の荒れ果てた駅舎の姿と並び、最上段にはこの度綺麗に修復された姿を、おそらくは正面に建っているモールから写した俯瞰写真。記事を読み進めていくと、「蟻の駅(Stasiun Semut)として知られている、2004年以来放置されてきていたこの文化的価値を有する建物の修復作業がこの度終了した。」うんうん。
1870年頃に建設された当時と変わらぬ姿を取り戻した駅舎は、スラバヤとマランを結ぶ鉄道が運転を開始した当時のアジア地域における鉄道の歴史を伝える傑作であると。
スラバヤ歴史ソサエティ(NGOかな?)の代表者フレディ・イスタント氏は、この駅は、タンジュン・ペラク港からも近いだけでなく、クンバン・ジュパン、アトム市場といった当時のスラバヤの中心から近い、スラバヤの心臓であったとジャワポス紙の取材に対して述べた。
この建物は2004年にPT.KAIから民間企業に所有権が移された際に、文化財的価値の見地から議論が起こった。市政府はこの建物を文化財指定した為、取り壊しは出来なくなったが、木製のストラクチュア・屋根や窓枠などは無くなってしまい、壁だけが残る状態となってしまった。この状況を憂慮したフレディ氏は、オランダのエラスムス大学のセミナーでこのような状況と保存の重要性を訴える等の活動を行ったという。
Stasiunsemutdsc_0403
上段と中段はあまり変化ないように見えますが、ちゃんとリノバシされてます。

このような活動の成果もあってか、2012年に市文化観光局、国鉄PT.KAI、所有者の民間企業等が合意の上レストア事業がスタートすることとなった(ご参照)。 木製構造物や窓枠、大理石の飾り板などは可能な限り当時の姿のとおり作り直されたが、残念ながら一部のものについては困難だったという。
それでも、このまま放置され荒れるに任されるよりは、駅として或いは博物館として機能するのであれば、その方が望ましいとフレディ氏は述べた。 という、美談的な記事で、近く何らかの形で公開されるのではないかと期待されたのですが、そうは問屋が卸さないのがインドネシア。

翌6日付の同じ「Jawa Pos」紙(25面)には、「KAI、蟻駅のレストアがいつ終わるのか未定」との残念な見出しの記事が続報されています。
見出し写真の下には “未了事項”としては、床の花崗岩や大理石、木と鉄の組み合わせで作られた馬の飾り、壁のオーナメント類などが列挙されている。記事本文によれば、国鉄PT.KAIの本件担当副社長エラ・ウバイディ氏は、7日、同社として本件レストア事業が終了したとの報告は受けていないとしつつ、イグナシウス・ヨナン前社長(現運輸相)は本件レストアと駅としての再活用を強く求めており、スラバヤ市側の対応はまだ不十分であると述べたと。同駅を単なる文化財としてではなく、“駅”として再使用開始する為の手続が全くとられていないというのです。  
Stasiunsemutdsc_0405
こちら、翌日の記事。PT.KAIの反応が素早いというべきか。

他方、専門家の視点で見ると、本件レストアは終了しており、どの程度以前の姿を取り戻したかという点については、75%と評価されるとのコメントがあった。サイズ、材質など可能な限り当時のままのものを用いて修復し、不可能である場合には最も近いものを用いられているという。その専門家は実際に修復後の姿を見たが、2010年当時、草茫々だった廃駅舎は2012年に開始されたこの修復作業を経て、十分な綺麗な姿を取り戻したのであり、駅であれ美術館であれレストランであれ、是非この文化財が又降灰することのないよう活用して欲しい、と結んでいました。

記事としてはなんとなく尻切れトンボなのは当地紙の記事によくある話ですが、市と国鉄のどちらの方も持ちづらい新聞社としては、これだけしか書けないのでしょうね。この旧駅舎前は、片側1.5車線の道路を挟んで正面にはモールが建っており、駅前に連結してのバスやその他の市内交通との乗り継ぎスペースを設ける余地はありません。ホームも修復されたのは1面のみで、現在のコタ終端駅のように2列車を扱うことも出来ない状況で、直ちにこの駅をスラバヤの終点駅として運用することは難しいと思います。将来的に駅として活用することは、都市計画を含めてよく考えて戴いた上で、取り敢えずは博物館なり文化施設なりとして、その新装なった姿を見せてくれると嬉しいのですが。

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