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2017年4月23日 (日)

特急列車でミッチーナからナバへ。

既に雨季に入ったミャンマー、調べてみると、本格的な雨季は5月後半から10月前半に掛けてのようですが、ここミッチーナの属するカチン州南部からサガイン州北部についても既に空は暗く雨が強くなったり弱くなったりしつつも降り続いています。数日前に当地を来訪した友人も、雨に降られっぱなしだった模様。
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遠くにアラカン山脈を望みながら南へ向けて走る列車の車窓。揺れ具合が判りますか。

先の大戦中は、このミッチーナ(当時はミートキーナ:密支那等と表記していた)からカチン州の一帯に展開しインド北東部のインパール攻略を目指した約10万人の日本軍が、この地の気候、雨季の大雨やそれによる泥濘、アラカン山脈の険しい地形に阻まれての不十分な兵站補給と熱帯の疾病により大変な苦難の行軍を強いられ、数万人の戦死者・戦病死者を出した土地でもあります。ミッチーナ飛行場を巡る攻防戦もWikipediaにも項目が立てられるほどで、戦略上重要な街でした。
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途中Nanmati駅から分岐していたサトウキビ製糖工場への専用線跡。

こことマンダレーとを結ぶ鉄道も、マンダレーを起点に1891年にシュウェボーまで、その後段階的に延伸され、1895年にカターまで、そして1898年にはミッチーナに達している歴史ある路線です。
ビルマ戦記の手記を読んでも、応召してビルマ戦線に投入、貨車に揺られ、ゲリラ活動などであちこち線路が途切れたり、英軍機の空襲を逃れたりしながらこの地域を北上したなんて話が書かれていたりします。
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最初の停車駅モガウンに到着。雨の中、早速売り子さん達が集まって来ます。

現在このミャンマー北部随一の幹線鉄道であり、並行道路整備状況が必ずしも良くないため鉄道の需要が高く、毎日数往復の長距離列車が走る路線ですが、改善整備が進むヤンゴン~マンダレー間鉄道と比べても線路状態は悪く、時折もの凄く揺れることがあります、っちゅうか、しばしば。
低速域では左右にユーラユーラと揺れるのが、速度が上がってくるとこれに突然縦揺れが加わり、こりゃ脱線するんじゃないの?という恐怖感にも駆られるほどのジャンピング・トレイン。
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Hopin駅で対向列車と行き違い。

スマホの画面もまともに乱視になりそうで見続けられないし、お弁当に手をつけても突然の揺れでボロボロとこぼしてしまったり、楽な汽車旅じゃありません。
それでも、“貨車”に揺られての移動でも、徒歩の行軍よりは随分楽だったという戦争当時を思い返せば、こんなリクライニング(壊れてるけど)シートに身を任せて雨に煙る車窓を眺めながら移動できるというのは天国であり、平和のありがたさを感じなければなりません。こんなところで感じるべきじゃないとは思いますが。

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お、対向列車には、寝台車が連結されていますね。

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こちらはミッチーナ方面行きの時刻表です。

この38DN列車、別掲した時刻表から判るとおり、停車駅数も少なく、最速で結ぶ最優等列車で、ミッチーナを出ると、モガウン、ホーピン、モニン、そして当方の下車駅ナバまで約8時間の間に途中3駅しか停車しません。この地域は山間部を縫って走っており、古くから鉄道があった地域とは言え農耕や牧畜が可能な土地が限られており、あまり大きな街がないのですね。終点のミッチーナですら人口約15万人程度の中都市に過ぎません。列車が駅を出ると、あっという間に農村地帯となり、車窓には青々と広がる田んぼや木々、湿地そして遠方に霧か雲かを纏った山が両側に立ちはだかるという里山の風景が広がります。
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長距離バスが鈍足の列車を軽々と追い越していきます。

途中Malikhaでは遅れの上り(当地でのUP列車:山方面に向かうもの。日本では東京に向かう列車が「上り」ですよね。)55UP列車、続いてHopinでは41UP、更に43UPと各駅で次々と相手方を待たせての大名行列・優等列車は進み、定刻20:05より10分近く早く「間もなくナバ、下車駅ですよ」と車掌が呼びに来ました。検札は出発直後に一回あったきりですが、ちゃんと記録されているのが立派ですね。外国人だから目をつけられてるのかな。
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モニン到着は夕食時。大量に準備された御飯のトレーに、客が選んだおかずをのせて、はいお弁当一丁あがり!

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頭の上に器用に乗せて売り歩いてます。

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下車駅ナバに到着。お弁当売りさんはロウソクの光を灯す時間帯。

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コメント

なるほど、そうしますとこの列車は、確かに代用客車が1両と作業用客車のようなものが連結された編成になっていましたが、正式には旅客営業をする列車ではないのですね。駅長室の時刻表には書かれていても、掲示されているものには書かれていないのも理解できます。
しかし、「問い合わせてみました」とは、そのような問い合わせが出来る窓口があって、回答が返って来るというのに驚きました。

投稿: 落花生。 | 2017年6月 7日 (水) 15時19分

こんばんは。
43Up/44Dnの正体を問い合わせてみました。現在の43Up/44Dnは「特別貨物列車」で、列車番号が旅客列車と紛らわしい理由は、客車を1両連結した「ローカル」の時代があった名残だそうです。

4/20の43Upと思しき列車は、たまたま回送か事業用の客車が増結されていてローカル時代のような姿になっていた可能性が?

投稿: RBE迷 | 2017年6月 7日 (水) 01時45分

RBE迷さま、
RBE2570早速復活ですか!(笑) 素晴らしいですし、その情報伝達の早さにも驚愕です。
43UP/44DN、流石は鋭いですね。ナバ駅の時刻表にも掲載されていませんでした。
もう夕暮れの、確かMawlu駅だったかですれ違った混合列車が、時刻表から推察して2時間半遅れのこの43UPではないかと思った次第で、車体に列車番号が書かれているわけではありませんので、より正確を期するには、「43UPと思しき列車」云々と書かねばならないかもしれませんね。
動画も拝見しました。スゴい!(笑) 私の乗った列車は、幸いにもこんな状態になることは殆どありませんでした。

投稿: 落花生。 | 2017年4月29日 (土) 02時49分

こんばんは。
故障と伝えられたRBE2570は今日早速走ったそうです笑

特製時刻表に収録されている43Up/44Dnは駅で案内されていない謎の鈍足列車ですが、Thingangyun-Toungooでこっそり走っている19Up/20Dnのような混合列車でしょうか。

ミッチーナー線の縦揺れはこの動画が面白いです。113系風の台車を履いているので余計にボヨンボヨン跳ねるのでしょうね。https://youtu.be/XQb1R4cferc

投稿: RBE迷 | 2017年4月29日 (土) 00時50分

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