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2018年5月 5日 (土)

タウンジー~サイカウン路線に乗る(本編)。

前置きが長くなってしまいましたが、タウンジーからのサイカウン行き153UP列車、14:30の定刻に出発です。機関車次位に青色の代用客車2両とカブースを繋いだ合計4両編成ですが、最後尾の車掌車のデッキや車内にも荷物が積まれ乗客も乗り込んでおり、スタッフは止める風でもありません。
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駅員さんの趣味なのか、綺麗に整備されて花も咲くホーム(パモン)。

他方で、車掌と思しき係員に「ここに座りなさい」と導かれたのは、代用客車の最前部の隅の窓側、床が少し高く設えてある部分に靴を脱いで上がり込む、お座敷列車状態。
周囲にはたくさんの荷物が置かれているのですが、反対の窓側には制服の警乗警官、がこの列車には2名同乗。ラカインのそれとは異なりライフルを持っていたりはしないので、多少マイルドな雰囲気ではありますが、乗客の大半を占める民族衣装を纏った方々・・・ 以前カックーに行った時と同じパオ族の方のようですが、何となくこちらとは距離を置いて、危うきに近寄らず、な気配が感じられます。
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代用客車の車内。中央に背中合わせのロングシートが設けられた、モノレールのような?座席配置です。

タウンジーからの線路は、一路南へ、そして暫くの間は随分と下り勾配が続いていきます。へーホー空港からの道はいろは坂を登ってタウンジーへ来ましたが、どうやらミャンマー第4の人口規模を誇る都市であるタウンジー(“大山”の意)市街地は、随分と高いところに形成されているようです。
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駅舎もホームもない、駅名標が立つだけの停留場(ナウンカー)。

列車は、竹林が目立つ沿線風景を見ながら、それなりの揺れもあって結構なスピード感(といっても40km/hも出ていないでしょうが)で走り、綺麗に整備されて花が植えられたような駅、ホームもないような停留場などに停まりながら、徐々に南下していきます。
各駅では市場での買い物か商売帰りのような荷物を抱えたパオ族のおばちゃんが数人ずつ降りて行きますが、一方で、この1日1本の下り列車、を待ち受けて乗ってくる人がいるのには驚かされます。用務で来るような街がある駅ではないのですが、朝のタウンジー行きでもっと田舎からやって来て、この列車で帰っていくのでしょうかね。
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一番大勢の下車客があったのは、遺跡最寄りのカックー駅。

そして40人くらいでしょうか。一番多くの乗客が下車したのは、16時過ぎに到着したカックー遺跡最寄りのカックー駅でした。沿線最大規模の集落が見えるHangsiや一時期終点駅だったBanyinではなく、集落としては小さなこちらだったのが意外ですが、幹線道路に面してバスなどがある(であろう)両村とちがって、パオ族の聖地?でもあるこちらは、観光客の往来は多くとも、路線バスが通っていないのかもしれません。
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民族衣装とバイク、こういうのは邪道と思う方もいるし、現代の素の姿だと思う人もいるでしょうね(カックー)。

カックー遺跡を左手に望むこの駅、上手くやれば観光ルートとして活用できる・・・と考えるのは、浅はかな素人考えなのでしょうかね。ホテルが有り拠点となるタウンジーからの列車は午後のこの1本、カックーからの戻りは早朝の1本だけですから現在のダイヤではどうしようもありませんし、貨車に木製のベンチをつけただけのような車両も当然外国人の利用に耐えるものではありません。
それでも、途中に交換可能駅(ポイントを直せば?)もあることでもあり、トロッコ観光列車みたいなものを走らせたりするには・・・ 車窓風景が地味すぎるかもしれませんね。
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カックー遺跡入口の立派なゲートと、奥には遺跡の仏塔がチラッと見えます。カックー駅から歩いてすぐです。

カックーを出発した列車は遺跡の近くを掘り割りで抜け、進路を東へ変えます。
小さな集落の駅や踏切に設けられた停留所で1人2人と帰宅客を降ろしながらゆっくり走るうちに、急に雲が濃くなり雨が降り出しました。あっという間に雨脚は強まり、残った乗客は窓、にガラスはないので鉄製の鎧戸を下ろしていきますが、ドアのついていない車両ですから、どうしてもそこから車内に雨が降り込んできます。もう間もなく当地も雨季を迎えますが、この時期の代用客車の旅は少々厳しいものがありますね。
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タウンジーから下って行くに連れ、農業に不向きと思える荒地が多くなって来ました。

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ホームのない小さな停留場。駅名標もなかったかも。

そして雲の切れ間から日の光が差し込み少し小降りになった17時10分頃、終点サイカウンに15分ほどの早着で到着しました。

残った10数名の乗客は徒歩、或いは駅前で待ち受けていた1台の三輪乗合車で街へと向かうようですが、乗客を下ろした列車は、機関車の付け替えかと思いきや、編成全部が前方へと走り去っていきました。
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1日1往復の列車のために、駅員が常駐し、連絡を受けて運行指示の紙を渡します(Banyin)。

え、まだ先があるの?、なわけでは勿論なく、300mほど進んだ先で入れ替えを始めました。機関車だけではなく、最後尾のえんじ色のカブースを反対側に持ってくるために、行ったり来たりと若干複雑な往復運転を繰り返すようです。もう編成の前後両端にカブース繋げとけばいいのにね。
なお、先ほど当方が座っていた、少し高くなっている、お座敷のようになっていた部分は、この警乗警官の今晩の寝床になるというのは面白かったです。
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終点サイカウンに到着。幸いにも小降りになって来ました。

そんなわけで、所要約3時間、ナンサンまで全線が走っていた頃は15~18時間がかりだったようですので、現在運行されている区間は僅か1/5になってしまっていました。ここから先は、衛星写真からは見るからに人口希薄な山の中を抜けるルートで、旅客需要は少なかったのでしょう。
タウンジー~ナンサン間は、東西に繋がる完全舗装の道路で結ばれており、直通旅客や貨物トラックはそちらを経由し、他方でこちら、一応線路が繋がっているとはいえ、シュウェニャウン~タウンジー間の運行は事実上なかったようで、“本土”地域からシャン州東部への貨物輸送ルートとしてもこの鉄道はまったく活用されなかったわけで、運行休止・事実上の廃線となってしまったのもやむなしといったところでしょうか。
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雨上がり(上がりきってないけど)のサイカウン駅。10数名の下車客は、待ち受けた三輪車で街の方へ去って行きました。

それでも、残存区間は、僅か1日1往復とはいえ、それなりの乗客数でした。現在この列車が運行されているルート沿線はパオ自治区と呼ばれ、十数年前までは外国人の立入りは制限されていたそうです。
その列車の乗客の殆どが、目覚ましい経済発展を始めたミャンマーの“本土”地域とは全く隔絶された生活を送っていると言っても過言ではない、少数民族の方々です。一部英語が出来る若者やレストラン・土産物屋関係者など、カックー遺跡観光である程度潤っている人達も出つつあるものの、その他大半の人達は、借上車の運転手曰く、彼女らは字も読めないし、ビルマ語はおろか、(シャン州内で広く使われている)シャン語すら喋れない者も多い(部族語のみ)、と。
車内で偶々1人の乗客の財布の中身が見えたのですが、50チャット、100チャット、200チャットといった小額紙幣ばかりで、1万チャット(約900円)札はおろか、1,000チャット札すら見えませんでした。そのような貨幣単位での生活をしている方々です。
この列車は、先週のラカイン南線と似た部分があるかもしれませんが、このパオ族を中心とした、沿線の貧困層に対する社会福祉ツールの一つとして、あるいは懐柔するための手段として運行を続けているという部分があるようにも思えました。
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終点サイカウンに到着。早速入れ替え作業が始まりました。

そして当方はタウンジーから回しておいたクルマに乗り込み、ロイサウンという最寄りの集落(何故か駅名と集落名が違うため、事前にサイカウン駅がどこにあるのか、悩みました。)に向かい、一つだけ宿題。ここからの交通機関の確認です。
この街は、タウンジーと南のカヤー州の州都ロイコーとを4時間ほどで結ぶ幹線道路沿いの街で、先ほどタウンジー駅近くのバスターミナルで、「タウンジー~シーサイン~ロイコー」と書かれたバスを何台か見ていました。そしてちょうど間のいいことに、先ほどタウンジーで見かけた「香取観光バス」がやって来て、停留所と思しき目の前の商店の前で停車したので、運転手と店員から聞き取り調査。
曰く、「このバスは(ロイコーとは書いてあるけれど)途中のシーサイン止まり。タウンジーからのロイコー行き最終は昼の12時タウンジー発でおしまい。ロイコーからのタウンジー行きも、もう今日はない。シーサインには外国人の泊まれる許可を受けた宿はない。」とのこと。
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現在の終着駅、サイカウン駅前。チャーターしたクルマが出迎えてくれました。これがないと…

暫く前にこの駅まで列車に乗ってきた下川裕治氏も、既にその日は公共交通機関がなかったため、やむなく地元の人達の手助けを得てこの街で乗り合いバンをチャーターしてタウンジーに戻った、との記述をしておられましたが、やはりそうみたいです。

こちらも、それを見越して今回はクルマをこの駅まで回していたわけですが、この路線に乗るためには、どうやら片道クルマを借り上げるしかなさそうですね。
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タウンジーからのバスが停まったので、聞き取り調査。運転手に話しかけているのは、借上車の運転手君(20歳)。

この日はタウンジー市内で夕食の後、カローまで移動します。タウンジーの山下からマンダレー行きの夜行バスでも乗れば、途中カローで降りたり出来て少しは安く上がったのかも知れませんが、また雨が降ったりやんだりしてるので、そのまま行って貰うことに。
カローの街に着いた時は大雨だったので、結果、正解でした。やれやれ。

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